Scientific Reports誌に白鳥先生のPBSCTにおけるGVHD予防法として、低用量ATG法とPTCy法は同等の有効性を示した論文が掲載されました。
Title:A comparative study of GVHD prophylaxis using low dose ATG versus PTCy for PBSCT based on two independent prospective cohorts
雑誌名:Scientific Reports
我々はこれまで前向き臨床試験にて、末梢血幹細胞移植(PBSCT)に対する移植片対宿主病(GVHD)の予防法として、低用量の抗胸腺細胞グロブリン(ATG)法と移植後シクロホスファミド(PTCy)法の有効性を示してきました。今回、2つの多施設共同第II相試験(JSCT-ATG 15、JSCT-PTCY19)の登録症例を対象に、低用量ATG法とPTCy法の有効性と安全性を評価しました。
主要評価項目である無GVHD無再発生存率は、ATG群とPTCy群で同等であり、好中球と血小板の生着期間はATG群で有意に短縮されましたが、GVHD、再発、非再発死亡、免疫抑制剤中止率、および生存率は同等でした。特にPTCy群には、一般的に治療成績がやや劣るとされるHLA不適合例や強度減弱前処置例が含まれていたものの、それらの群においても他の群と比較して同様の予後が得られていました。
以上より、PBSCTにおけるGVHD予防法として、低用量ATG法とPTCy法は同等の有効性を示しました。 2025年2月26日よりPTCy法が臍帯血移植を除いた全ての移植に実質的に保険診療下で使用可能となったことで(https://www.jstct.or.jp/modules/news/index.php?content_id=675)PTCy法の使用拡大が予想される中、ATG法とPTCy法の位置づけの確立は重要な課題となります。本報告はその先駆的な位置づけの研究となり、今後も北日本血液研究会にて研究を進めていく予定です。
Pubmed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40596499/
論文の詳細はこちら:https://www.nature.com/articles/s41598-025-07263-4