2021年3月14日〜17日に第47回 欧州骨髄移植学会議(EBMT)が開催(ウェブ開催)されました。後藤秀樹先生は本国際学会のoral sessionで、健常人ドナーから末梢血幹細胞採取を行う際の新たなG-CSF投与法として「pegfilgrastim(持続型G-CSF製剤)単回投与による末梢血中への幹細胞動員効果」について検証し報告を行いました。

 血液の病気を持っている患者さんへ同種造血幹細胞移植を行う際には、血液のおおもとになる幹細胞を提供していくれるドナーが必要になります。ドナーからの幹細胞採取方法の1つに末梢血幹細胞採取があります。現在、末梢血幹細胞採取を行うには、ドナーは数日間にわたり毎日G-CSF投与(皮下注射)を受ける必要があります。そのため、多くのドナーは入院下でG-CSF注射を受けることになります。すなわち、数日〜1週間にわたり仕事を休むことができないドナー候補者は、ドナーになることを断念せざるを得ないケースもあるのが現状です。
 今回の我々の検討により、持続型G-CSFであるpegfilgrastim 7.6mgを1回投与(皮下注射)することで、5日後に十分な幹細胞が末梢血中に動員できることが明らかとなりました。一方で、有害事象は従来の毎日G-CSFを投与する時と大きな差は認められず、安全に投与可能であることも確認できました。

 本研究はAMED豊嶋班のもと、協和キリンによる治験として行われ、pegfilgrastimの保険適応拡大に向けて2021年3月11日に厚生労働省へ申請が行われました。承認されれば世界初の適応になります。
 
 今回の研究により、Pegfilgrastim 7.6mgの1回投与が末梢血幹細胞採取に認可されれば、連日G-CSF投与されるというドナーの身体的苦痛を緩和できるだけでなく、ドナーが仕事を休む期間も短くすることが可能となるため、より多くのドナー(特に若年ドナー)が幹細胞提供可能になるものと期待しています。

 今回のEBMTでの発表は、日経BPから取材を受けwebニュースとしてリリースされました。