北大グループはZeiser R (ドイツ)らのグループ、Vago L (イタリア) らのグループのそれぞれと共同研究を行って参りました。この度それぞれの研究の論文がNature Medicine誌に掲載されました。いずれの論文も臨床的インパクトの強い内容であり、今後の白血病治療に影響を与える重要な論文になるものと考えられます。それぞれの論文の概要を以下にお示しします。

 

Zeiser R (ドイツ) らのグループとの共同研究について

FLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(FLT3-ITD変異AML)は予後不良の白血病の1つであり、同種造血幹細胞移植を施行しても約3年で50%程度の症例が再発します。このため、FLT3-ITD変異AMLの移植後再発に対する治療法の開発が求められています。本研究では、FLT3-ITD変異AMLの白血病細胞に分子標的薬のソラフェニブを加えると、白血病細胞からIL-15というサイトカインが産生され、抗腫瘍効果が高いドナーT細胞が増加し、白血病細胞が根絶されることが明らかにされました。この現象はマウスモデルのみならず、ヒトのFLT3-ITD変異AML細胞でも確認され、ソラフェニブ投与を併用したドナーT細胞輸注の可能性が示唆されています。

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Vago L (イタリア) らのグループとの共同研究について

同種造血幹細胞移植は養子免疫細胞療法として造血器悪性腫瘍の治癒をもたらし得る治療法ですが、移植後の再発もしばしば認められます。本研究では初診時、抗癌剤治療のみでの再発時、移植後再発時などのそれぞれのポイントにおいて、白血病細胞およびドナーT細胞の遺伝子発現を解析し、移植後再発時に特徴的な所見を見出しました。移植後再発時の白血病細胞では、免疫抑制性のチェックポイント分子の発現亢進やHLA classⅡの欠失を認め、ドナーT細胞にもそれに対応する変化が認められたことから、白血病細胞がドナーT細胞からの免疫逃避機構を獲得していることが証明されました。この結果を受けて、今後は再発時の白血病細胞やドナーT細胞の遺伝子発現を解析し、病態に合ったより適切な治療法の選択が可能になるものと考えられます。

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